くねくね科学探検日記

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RSS えー、うちゅうじんでないのぉ〜

<<   作成日時 : 2010/12/08 00:59   >>

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相当期を逸したけど、NASA発表のヒ素で体作っちゃう微生物の話。

事前の思わせぶりな予告のおかげで、世界中で宇宙人発見かってちょう盛り上がり。
しかし、結局、細菌のよくわからない話でちょうがっかりだった。
まあ、科学すきなひとは、いやいやこれは実はすごい話なんだにょって、自分でもピンと来てないながらも弁護してましたが、そんな事言われても、はあ、そうですかってかんじよねえ( ・∀・ )

それが、一般の多くの人たちの率直な感想じゃないかな。

色々わかってらっしゃるひとは、最初から宇宙人の話のわけない、もっと地味な話だろうなって思ってたし、前日には、発表者の顔ぶれから、ヒ素を利用する微生物の話だということは、だいたい予想がついていた。で、発表を聴くと、この分野に深い関心を持ってきた人にとっては驚くべきものだったけど、そうじゃない人はなんかスゴそうだけどそうなの??なさがいってるからすごいはずだけどみたいな感じ。

これはまあ、NASAの広報がスゴかたってことなんだな。
いきさつ的には、今回の論文になった研究には、NASAから金が出てて、その論文内容を報道公開して良いという期日(これはscienseという掲載雑誌が決めてる)に、発表したって事。

研究は、生物学的にはかなり画期的で今後大きな波及効果があるので、場合によってはノーベル賞とか、それに匹敵する賞の対象にもなりそうだけど、それはあくまで極限環境微生物の話で、これを「地球外生命体」と関係づけるのは、超こじつけなんだよね。

ただ、こういう学問的にすごい話にも、NASAはスポンサーになってます、我々は税金を有効活用してまっせと、折に触れて宣伝する一環としての今回の発表であるわけね。

大半の人の感想が、宇宙人じゃないのかがっかりというものだったとしても、これだけ世界の注目を集めたのはまずポイント。

それで、科学に関心のない人には地味すぎてスルーするような話だけど、学問的には非常に価値のある研究成果のスポンサーをしているということを、その意味は重要だねって思う人たちほぼ全てに知らせる事ができているわけで、これは広報戦略としては大成功だったんじゃないかな。

翻って日本は、こいう大胆な広報はできないよね。後から悪口いわれるのを恐れて……以下略。

さて、ではこの発見は実際にどういうものだったか。
これについては、すでに色々なところが解説を書いている。
http://ameblo.jp/horikawad/entry-10723059713.html
http://d.hatena.ne.jp/popeetheclown/touch/20101202/1291319775
http://www.jamstec.go.jp/less/precam/j/news.html#102
http://wiredvision.jp/news/201012/2010120322.html
http://blog.livedoor.jp/route408/archives/51631090.html

ながいのでざっくりまとめます。

みつかったのは、アメリカのモノ湖ってところで、プロテオバクテリアという真正細菌の仲間のハロモナスって好塩菌。

これは、全く珍しいものじゃないって事がまず驚きね。プロテオバクテリアってのは、環境耐性が強いのかな、わりとどこにでもいる細菌。人間の腸内にもこの仲間はいる。
系統的に見ても、生命の起源に近いような種類じゃない。

そして、好塩菌というのは、塩分濃度の濃いいところに生えるやつらで、普通は塩づけにするようなめっちゃ濃い塩の所には細菌は生えないわけだけど、この人たちは結構いける口なのね。でも、そういうのがいる事はまあ極限環境微生物に関心のある人なら、誰でも知っているような事。

で、何がすごいかというと、この細菌を、リンを含まない、ヒ素だけしかない培地で培養しても、増えてきちゃったってこと。

この、ヒ素しか含まない培地で培養してみるってのは、まあ、コロンブスの卵みたいなはなしで、専門家ほど、さすがにそれはやってもムダだよねって手をつけなかった。
でも、やってみたら元気にのびのび生えてきちゃったのだ。ちょうびっくりびっくりー。

リンとヒ素はよく似た物質で、だからヒ素は毒になるってところがある。
オレたちが普通に知っている生物は、生存に必要不可欠な生体高分子(DNA,、RNA,、ATP,、ADP、細胞膜のリン脂質などなど)のほとんどにリンを使ってる。
で、ヒ素はリンと似てるから、食べると生存にすごく大事な分子の中にあるリンが、間違ってヒ素と置き換わって、そうすると分子の形が歪んだり、化学的に不安定になってすぐ壊れちゃったりするようになって、必要な生体機能を果たせなくなる。

酵素なんて、鍵と鍵穴の話でも有名だけど、ちょっとでも形が歪んだら、なんの役目も果たさないわけね。だから、リンがヒ素と入れ代わると、たいていの生き物は死んじゃう。つまり毒。

ただ、生き物ってのはかなりしぶといところがあるので、ヒ素が多い環境でも生きられるやつがいることは前から知られていた。あるものは、ヒ素を、自分の体内分子には取り入れないしくみを備えて、ひそかんけーねーってかんじで生き延びる。また、あるものは、ヒ素をエネルギー源にして(異化作用っていうの)、そのエネルギーで光合成してたり。

でも、今度のは、リンがなくて、ヒ素しかない培地で生えてくる。つまり、ヒ素つかって自分の体を作っちゃう(同化作用という)のだ。

いや、それって、でもありえるの?。分子の形がちょっと歪んだり壊れやすくなっただけで普通はダメなのよ??厳密に培地から100パーセントリンを取り除くのは無理だから、これってなにかの間違いでないのって、みんな思うわけね。

でまあ、色々な分析手法を使って、かなり丁寧に、培養した細菌の中にどれだけリンがあるかって調べたんだけど、やっぱリンはなくてひそばっか。量的に、生体高分子を十分つくる量のリンは含まれていない事が確実で、DNAはもちろん、その他の全ての生体高分子も大半はヒ素ベースで生き延びている事が確定した。(間接的にだけど)

この細菌は、リンだけの培地なら3倍のスピードで増殖する。赤くはならない。たぶん。

つまり、この細菌のヒ素の同化作用って、環境適応なんだよね。
だから、これは原初の生命、あるいは地球外の生命は、リンでもヒ素でも選べたけど、今の生き物はたまたまリンを選んだ、ってわけではなさそう。分子の右手左手の話とはちょい違う。

しかし、実際に、こういう生き物が見つかった事で、こんなんがありだとすると、何でそんな事ができちゃうわけ?っていう疑問が爆発的に沸いてくるわけね。いろいろ仮説を考えたり、確かめなくちゃいけないことが、ほんと無数に出てきたの。

たとえば、今なら次世代シーケンサ使えば、この程度のバクテリアの全DNA配列は、100万円1日で読み切れるかんじ。このデータが出てきてないのはある意味不思議なくらいで、それは近いうちに発表されるんでないかな。

それに、論文に書いてるのは、含まれているリンが微量だから使ってる事はあり得ないってだけで、実際に、リンとヒ素が入れ代わった分子の結晶構造とかは見ているわけじゃない。こういう仕事は今でもかなり大変なはず。

極めて微量だけど、リンでないとダメな分子とかもあるかもしれないし、そういうことも含めていろいろな解析をしていく必要性がいっぱいある。

さらに、構成論的生物学のひとなら、こういうヒ素置換DNAとかつくってみたくなるだろうし、他にもこういう微生物がいるかも知れないから、世界中の人が、いろいろなところから採ってきた微生物で、ヒ素だけ培地みたいなところ(ヒ素以外の元素でもやるはず)で、とりあえず生やしてみるという研究もどしどし行われる事は間違いない。

つまり、科学者の飯の種がいっぱいできたのね。
こういう波及効果がある研究は、ノーベル賞とかみたいな賞になる可能性が非常に高かったりするんだよね。ヾ( ・∀・ )ノ゙

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
マイケル・ハートが仕掛けた「ファクトA」は以外と重い気がします。
この「事実」としたなかに、地球の生物史で、ホミニド以外に明確な技術文明指向を示した生物がいない事も含まれる気がします。
しかし、ホモ・フローレシエンシスが400cc程度の脳容量が集団で狩りをしていたと言うのが正しければ、知性と知能の垣根というのは悩ましい問題になりそう。
Sasico
2010/12/19 00:28

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